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気になる病気・健康のこと

肝臓病

肝機能障害と異常があるといわれた人に

1. 肝臓とは

図:人体における肝臓の位置

肝臓は、上腹部のやや右寄りにあり、重さが900~1300グラムもある大きな臓器です。腸から吸収された栄養分は、血管を通って肝臓に運ばれます。肝臓では、栄養分を体の役に立つ形に変えて、全身に送ります。余分の栄養分は、肝臓の中に貯めておきます。また、アルコールなどの毒物を分解したり、いらなくなったものを排泄したりします。肝臓は、この他にも体の調子を一定に保つためのいろいろな働きをしています。

肝臓コンビナートの働き

図:肝臓コンビナートの働き

上記のように肝臓は、重要な働きをしていますが、痛みを感じる神経もなく、かなり広い範囲に障害を受けるまで症状が出にくいので、「沈黙の臓器」と呼ばれています。症状がなくても、年に1回は検診を受けましょう。

2. 肝機能の異常を示す主な血液検査項目

  • 肝臓の細胞が障害を受けて壊れると、GOT、GPTの値が高くなります。
  • 胆のうや胆管などの胆道系が障害を受けると、AIP、γ-GTPの値が高くなります。
  • アルコールの多飲による肝機能障害では、γ-GTPの値が、特に高くなります。

3. 普段から気をつけておくこと

  • 日常生活を規則正しくしましょう。
  • 肉体的・精神的な疲労を避け、十分な睡眠と休養をとりましょう。
  • 食事は、たんぱく質(油の少ない肉・魚類・大豆製品・牛乳・卵)を十分とり、偏食せずにバランスよく食べましょう。
  • アルコールは避けましょう。
  • ふとりすぎの人は、定期的に体重をはかり、標準体重に近づけましょう。(「循環器病編:肥満」参照)

健診で肝機能障害といわれた人は、必ず医師に相談しましょう。

肝炎について

1. 肝炎とは

図:働きが落ちた肝臓コンビナート

肝炎は、急性肝炎と慢性肝炎に分けることができます。急性肝炎は発熱、黄疸、消化管症状などの自覚症状が強く現れ、肝臓の働きを示すGOT、GPTの値も激しく上昇します。一方慢性肝炎は、自覚症状としてだるさ、疲れやすさ、などがあります。しかしその程度は病状によってかなりの差があり、軽度か、ほとんどない場合も少なくありません。肝炎の原因としては以前より、ウイルス性、薬剤性、アルコール性、免疫異常によるものなどが挙げられていましたが、近年過栄養による脂肪肝炎の概念がでてきました。(「ページ下部:脂肪肝について」参照)

ウイルス性肝炎の主な種類
A型肝炎 ウイルスに汚染された水や食べ物(主に生ガキなどの生の魚介類)などを摂取することにより感染します。ワクチンで予防することができますし、適切な治療でほとんどが治ります。
B型肝炎 血液や体液を介して感染します。成人してからの感染は、大半が一過性で適切な治療でほとんどが治ります。幼少期に感染した場合、持続性となり、一部が慢性肝炎に進行します。ワクチン接種で予防することができます。
C型肝炎 血液や体液を介して感染します。持続性となることが多く、一部が慢性肝炎に進行します。

※B型肝炎、C型肝炎とも、慢性肝炎の中の一部は10~20年を経て肝硬変、肝がんへと進行する場合があります。
(B型肝炎はC型肝炎と比べて肝硬変にならずに直接肝がんが出現する事も多くあります)

2. 肝炎の診断

肝炎の検査では主に血液を調べます。GOT(AST)、GPT(ALT)の値、ウイルスマーカーなどを調べることで、肝炎の種類や障害の程度を知ることができます。又必要に応じて超音波検査、CT検査を行います。

(「ページ上部:肝機能に異常があるといわれた人に」、「循環器病編:検査結果の見方/血液検査結果の見方(2)」参照)

血液検査を受けて肝機能の異常を指摘されたら、放置しないで詳しい検査を受けるようにしましょう。

3. 肝炎と診断されたら

肝炎となった肝臓はアルコールを分解する働きが衰えています。アルコールはできるだけひかえるようにしましょう。蛋白質を含むバランスのよい食事をとり、十分な休息をとるようにしましょう。(「ページ上部:肝機能に異常があるといわれた人に」参照)

肝炎には、ひとりひとりの肝機能の状態に応じた長期的な管理、治療が必要です。自覚症状や、検査結果がよくなってきたからといって、勝手にやめたりせず、医師の指示に従ってきっちり治療や経過観察をつづけましょう。

4. 感染について気をつけること

歯ブラシやカミソリは他人と共有しないようにしましょう。また、他人の血液が皮膚に直接付かないように血液の付着した物の取り扱いは十分に注意しましょう。お風呂や、食事をともにすることで感染することはありません。

脂肪肝について

1. 脂肪肝とは

図:倉庫から中性脂肪があふれ出た肝臓コンビナート

肝臓の肝細胞に、脂肪(主に中性脂肪)がたまりすぎた状態です。肝臓では、エネルギー源として使うために中性脂肪を作り、その一部を肝細胞の中の倉庫に貯めておきます。使うエネルギーに比べて作った中性脂肪が多いと、倉庫からあふれて肝細胞に脂肪滴となって蓄積し、脂肪肝になります。つまり、脂肪肝を起こす原因は、中性脂肪の原料となる脂肪や糖分・アルコールなどの摂りすぎです。脂肪肝は、ほとんど自覚症状がありません。糖尿病や脂質異常症を合併することがあるので安心はできません。また、脂肪肝自体が悪化し炎症を起こすことがあり、脂肪肝炎といわれる状態に陥ることがあります。この状態が放置されると病状が徐々に進行し肝硬変・肝不全・肝がんとなります。また、病気の進行具合とGOT(AST)、GPT(ACT)の値は相関しないことがあり注意が必要です。しかし、重大な合併症を伴う前であれば生活の改善で健康な肝臓に戻すことができます。

脂肪肝の主な原因
肥満 余分な脂肪が肝臓に蓄積され発病します。
アルコール 摂取カロリーの増加および、アルコール自体が「脂肪酸」となることにより肝臓に蓄積され発病します。
糖尿病 代謝異常によって引き起こされます。
薬剤 抗生物質やステロイド剤の長期使用により発病します。
脂肪肝の主な原因
近年、アルコールを飲まないのにアルコール性肝障害に類似した肝臓に脂肪沈着を特徴とする疾患の存在がわかってきました。このような肝障害をまとめてNAFLED(非アルコール性脂肪性肝疾患)といいます。NAFLEDには単純性脂肪肝、脂肪肝炎、肝硬変があります。発症機序としては、まず肝臓に中性脂肪の沈着がおこり、そこにさらに活性酸素やサイトカインといった肝細胞障害要因が加わり発症するといわれており、過食や運動不足といった生活習慣が大きく関与しています。NAFLDのおよそ10%はNASH(非アルコール性脂肪肝炎)と呼ばれるNAFLDの重症型で、原因である肥満や生活習慣病が改善されない場合、病状は序除に進行し肝硬変・肝不全・肝癌になることがあります。

2. 検査

脂肪肝の診断には、ウイルス性肝炎、肝硬変など、他の肝臓の病気の有無を確認することがまず必要です。必要に応じ、超音波検査、CT検査などを行います。 アルコールをとりすぎている人では、γ-GTPが高くなっています。太っている人、アルコールをたくさん飲む人は、肝機能異常者が多くみられますが、その 大部分は脂肪肝です(下図参照)。

肥満度、飲酒量と肝機能検査との関係(当センター検診受診者40~59歳)
肥満度との関係
図:肥満度との関係
飲酒量との関係
図:飲酒量との関係

3. 日常生活の注意(「ページ上部:肝機能に異常があるといわれた人に」参照)


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